会社を設立して、銀行口座が必要になりますが、法人口座は個人口座よりも審査が厳しく、会社の事業内容や取引き状態、代表者の経歴も確認されます。
法人口座を作成する時には、銀行が何を見て判断しているのか理解して対応すると審査に落ちる無駄な時間を減らせます。
審査を通らない理由や審査を通過するコツ、審査がゆるい金融機関についても紹介します。
法人口座は金融機関により特徴が異なります。
銀行口座開設でつまづいたり、こんなに時間がかかるのか!と遠回りしないために、ぜひ一読すると良い記事です。
【結論】創業期はネット銀行がおすすめ
法人設立後1年目の法人にとって、ネット銀行こそ法人口座開設の最適な選択肢です。
ネット銀行は、メガバンクと比べて申込条件が緩やかで、より柔軟な審査を行うことが特徴です。
つまり、メガバンクよりも審査基準がゆるめであるといえます。
現在、法人口座を開設できるネット銀行は4つあり、
その中でも特に GMOあおぞらネット銀行と住信SBIネット銀行が振込手数料が業界最安値であるため、おすすめです。
GMOあおぞらネット銀行の特徴
GMOあおぞらネット銀行は、あおぞら銀行グループの銀行経営ノウハウと、GMOインターネットグループのインターネットノウハウを融合させた、ネット専業の銀行です。
同行は2018年7月17日に誕生したばかりの比較的新しい銀行です。
GMOあおぞらネット銀行の注目点は、スモール&スタートアップ企業からの支持を得ることを目指していることです。
そのため、法人口座の開設にバーチャルオフィスが利用できたり、手数料が業界最安値水準であるなど、創業間もない企業にも寄り添ったサービスが充実しています。
GMOあおぞらネット銀行の主な特徴は下記のとおりです。
- 振込手数料が業界最安値水準
- 月20回まで他行宛の振込手数料が無料
- バーチャルオフィスでの申込が可能
- 創業期や赤字でも借りられるビジネスローン
- Visaデビット決済で1.0%の現金キャッシュバック
各特長について詳しく見ていきましょう。
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参考GMOあおぞらネット銀行はやばい?危険・怪しいと言われる理由とデメリットを含む口コミ評判を徹底解説!
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振込手数料が業界最安値水準
GMOあおぞらネット銀行は、他行宛ての振込手数料が一律145円と、業界最安値水準のサービスを提供しています。
わずか数百円の差に過ぎないかもしれませんが、振込回数が増えるほど大きな差となるため、特に設立間もない企業にとって大きなメリットとなります。
私も不動産取引で何百万も振り込んだことがありますが、
アプリでサクッと振り込めて、145円しか振込手数料がかからなかったのが、衝撃的でした。
融資でノンバンクを使う場合は、一度自分の口座に振り込まれてから送金するので、特に便利です。
創業1年未満は月20回まで他行宛ての振込手数料が無料
同行では、法人設立1年未満の会社を対象に、月20回まで他行宛ての振込手数料が無料となるキャンペーンを実施しています。
たとえば月30回の振込を行う場合、通常は4,350円の手数料がかかりますが、
このキャンペーンを活用すれば1,450円まで抑えられ、1年間で約35,000円の節約が期待できます。
登記住所がバーチャルオフィスでも審査申込可能
さGMOあおぞらネット銀行は登記住所がバーチャルオフィスでも申込可能です。
設立間もない企業の中には、コストを抑えるためにバーチャルオフィスを利用している場合もありますが、
同行はそうした企業の実情を理解しており、バーチャルオフィスでの申込を認めています。
審査においても、事業内容を重視して判断されるため、バーチャルオフィスを利用していることで不利になることはありません。
法人向けのビジネスローン「あんしんワイド」を提供
GMOあおぞらネット銀行では、法人向けのビジネスローン「あんしんワイド」を提供しています。
このローンは、創業期や赤字の企業でも借りられる融資枠型のローンで、業界でも低めの金利設定となっています。
他社のビジネスローンと比較すると、あんしんワイドは年0.9%から14.0%の金利設定で、限度額も10万円から1,000万円と幅広く設定されています。
必要な時に必要な分だけ借りられる融資枠型のため、急な支払いにも対応できます。
ただし、個人事業主は利用できません。
デビット機能付きキャッシュカードが発行される
GMOあおぞらネット銀行の法人口座開設者には、デビット機能付きキャッシュカードが発行されます。
このカードを使ったデビット決済で、翌月に1.0%の現金キャッシュバックが受けられるのが大きなメリットです。
さらに2022年11月からは「デビット後払いオプション」が開始され、デビットカードをクレジットカードのように利用できるようになりました。
法人経費の支払いで、クレジットカードを取得したかったのですが、クレジットカードの発行審査もそもそも口座がないとできないので、時間がかかります。
口座開設とともにデビット機能が使えるようになると、このキャッシュカードで経費決済ができるようになるので、とても助かりました。
また、使った金額の1%もキャッシュバックされるので、なんだがお得な気がしてきます。
GMOあおぞらネット銀行の利用者アンケートでは、手数料の安さや口座開設の迅速さが高評価されている一方で、知名度の低さから取引先への説明が面倒だという意見もありました。
しかし、利用者の負担を軽減する取り組みは本当にありがたく、感謝しかないです。
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住信SBIネット銀行の特徴
住信SBIネット銀行は、口座開設までのスピードが早く、オンライン申し込みなら最短翌日に口座開設が可能です。
月額の利用料は無料で、他行宛ての振込手数料は145円と業界最安値水準となっています。
住信SBIネット銀行の特徴は以下の通りです。
振込手数料が業界最安値の145円
振込手数料が業界最安値の145円 他行宛ての振込手数料が145円と、業界最安値水準です。
たとえば1ヶ月に30回の3万円以上の振り込みを行った場合、住信SBIネット銀行との手数料の差は年間3,000円~30,240円にもなります。
最短翌営業日から口座が使える
オンラインで本人確認などが終了すると、最短翌営業日に口座開設が完了します。
携帯電話番号の登録やスマート認証NEOの登録が完了すれば、翌営業日から専用アプリを使用した取引が可能です。
ビジネスローン「dayta」が利用できる
住信SBIネット銀行の法人口座を開設するだけで、最大3,000万円の「事業性融資 dayta」が利用可能となります。
決算書や事業計画書などの書類は不要で、簡単に運転資金を調達できるのが魅力です。
以上のように、住信SBIネット銀行は手数料の安さ、口座開設の迅速さ、ビジネスローンの利用しやすさなど、法人にとって魅力的な特徴を備えています。
法人口座を作る目的
法人口座を作る主な目的は以下の2つです。
- 会社と個人の財産を明確に分ける
- 経費削減の機会に活用する
法人口座は会社名義の口座であるため、会社の資金の流れを把握しやすくなります。
入出金記録を確認するだけで、どこに削減できる支出があるかを検討しやすくなるというメリットがあります。
つまり、法人口座を作ることで単に個人の財産と仕訳できるだけでなく、経費管理の便利さにもつながるのです。
ただし、法人設立から1年未満の新しい会社の場合、法人口座の開設が簡単ではありません。
これは、マネー・ロンダリング防止策として、法人口座の審査が非常に厳しくなっているためです。
実績のない会社は、脱税や犯罪収益の洗浄に悪用されるリスクが高いと見なされやすいのです。
しかし、法人設立から1年未満の会社でも、法人口座が開設しやすい銀行はあります。
法人口座開設の審査のポイント
法人口座の開設には審査が必要ですが、スムーズに開設するためのポイントは以下の3つです。
- 事業内容と事業実態
- 資本金
- 書類の不備がないこと
事業内容と事業実態
事業内容と事業実態については、マネーロンダリング防止の観点から重視されます。
バーチャルオフィスでの申請は避けられ、設立間もない会社の場合は事業実績が少ないため、犯罪目的で利用されていないことを示す必要があります。
そのため、取引先との契約書や発注書などの第三者が関与する書類を提出することが有効です。
資本金
資本金についても審査の対象となります。
資本金が少ないと、実態のない会社と疑われる可能性があります。
GMOあおぞらネット銀行では、最低100万円の資本金があると安心と公表していますが、事業内容によって目安は異なります。
書類に不備がないこと
申請時の書類に不備がないことも重要です。
申請情報と登記上の住所が異なるなど、些細なミスがあると、犯罪目的で利用しようとしているのではないかと疑われかねません。
書類の確認を十分に行い、不備のないよう申請を行いましょう。
上記のポイントを意識して申請を行えば、スムーズに法人口座を開設できるでしょう。
メガバンクの法人口座開設は不可能に近い
設立間もない会社にとって、メガバンクでの法人口座開設は避けるべきです。
理由は以下の2点です。
取引手数料が高い
メガバンクの取引手数料は、ネット銀行と比べて高く設定されています。
例えば、他行宛の振込手数料は、メガバンクの方がネット銀行よりも高くなっています。
設立間もない会社にとって、この手数料の負担は大きなデメリットとなります。
提出書類が多い
メガバンクでの法人口座開設には、多くの書類の提出が必要です。
地銀ですら、履歴書のような長い文章をかかされ、多くの書類提出を求められたことがあります。
一方、ネット銀行の場合は、必要書類が少なく、申請がスムーズに行えます。
設立1年未満の会社や創業時期の企業にとって、メガバンクは審査基準が厳しく、手数料も高いため、おすすめできません。
よほど、大口顧客の紹介などでないとメガバンクの口座開設はまず難しいでしょう。
ネット銀行のような、より利用しやすい金融機関を選ぶことをおすすめします。
ネット銀行のデメリット
ネット銀行を利用する際の一つのデメリットとして、Pay-easy(ペイジー)対応が少ないことが挙げられます。
Pay-easy(ペイジー)は、公共料金や税金の支払いに便利な決済サービスですが、ネット銀行の中でも対応しているところは限られています。
具体的に見ると、GMOあおぞらネット銀行、PayPay銀行、楽天銀行は対応しているものの、
住信SBIネット銀行は未対応となっています。
Pay-easy(ペイジー)は、ネットバンキングの大きな利点の一つと考えられていますが、事業用口座を開設しやすいネット銀行の中でも、まだ対応していないところがあるのが現状です。
このように、ネット銀行を選ぶ際には、Pay-easy(ペイジー)への対応状況も確認する必要があります。
公共料金や税金の支払いに頻繁に利用する企業にとっては、この点が重要なデメリットとなる可能性があります。
まとめ
法人設立から間もない企業やスタートアップにとって、ネット銀行は法人口座開設の選択肢として有望だと考えられます。
私が特におすすめするのは、GMOあおぞらネット銀行と住信SBIネット銀行です。
その中でも、GMOあおぞらネット銀行は特に柔軟な審査対応が特徴で、バーチャルオフィスからの申込みも可能です。
他社と比べて開設条件がゆるめと言えるでしょう。
ただし、法人口座の審査では事業内容や実態を細かく確認されるため、決して甘い審査ではありません。
実績の少ない企業にとっては、申込段階から柔軟に対応してくれるネット銀行が適切な選択肢となります。