不動産投資というと「家賃収入で安定した生活」というイメージを持つ方も多いですが、実際にはトラブルや想定外の出来事も起こります。
私は今年2回、明け渡し訴訟を経験しました。
どちらも夜逃げではなく、家賃を滞納しながら居座り続けるケースでした。
今回はそのリアルな体験を、30代・3児の母であり不動産業界歴10年以上の大家がまとめました。
同じような悩みを抱える方の参考になれば嬉しいです。
1件目:購入時から進行していた明け渡し訴訟
1件目の物件は、購入当初から入居者が住んでいる「オーナーチェンジ訴訟絶賛進行中物件」でした。
この物件は訴訟以外にもワケアリだったので、20%ほど指値をさせて購入しました。
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購入後、ほどなくして判決がでました。
その後、部屋を明け渡してもらうぞ!と宣言しにいく「催告」がありました。
私も初めての経験だったので「催告」に現地に行きました。
入居者は鬱のような症状で、仕事を失い、生活が苦しくなっていたようです。
ただし、アルバイトをしており、生活保護を受けられる条件を満たしておらず、だれの助けも受けられないとのこと。(ちなみに20代の女の子です)
家賃滞納が続く中でも部屋に居続け、最終的には強制執行直前まで居座りました。
強制執行当日、まだいるのかとドキドキしましたが、
強制執行の当日にはゴミ屋敷だった部屋のゴミはだいぶ減っており、本人も部屋にはおりませんでした(一安心)。
部屋の残置物が撤去され、鍵業者さんが鍵交換をしてくださり、強制執行は終了です。
保証会社が入っていたため、内容証明の送付や訴訟の手続きはすべて保証会社経由の弁護士が対応してくれました。
保証会社の担当者は入居者本人と連絡を取る様子もなく、事務的に法的措置が終わりました。
「保証会社があるから安心」と思っていた私も、この時は良い経験にはなりましたが、精神的に疲れたのを覚えています。
2件目:良好な入居者から一転滞納がスタート
2件目の訴訟も、同じくオーナーチェンジで購入した物件の入居者でした。
購入時には滞納もトラブルもなく、「安定した入金状況」と聞いていました。
しかし購入から半年ほど経った頃、突然家賃の入金が途絶えました。
理由を確認すると、入居者は仕事を失い、収入が途絶えてしまったとのこと。
一度ショートメールのやりとりをして、仕事が決まったので、3ヶ月分を2か月に分割して支払う約束をしましたが、入金はありませんでした。
元保証会社勤務の私からのアドバイス!
最近は少なくなっていますが、集金代行ではなく、滞納報告型の家賃保証を使っている場合は、必ず3か月滞納になる前には報告してください。
家賃3ヶ月たまるとほぼ回収が不可能に近くなってきます。
保証会社を使って督促するなんて入居者がかわいそうという大家さんがたまにいますが、心を鬼にしないと後で後悔します。。。
結局、保証会社に滞納報告をして、滞納の対応はすべておまかせしました。
滞納していながら、更新の時期を迎え、更新書類だけは返信してきたり、退去する意思は全く見受けられませんでした。
その後保証会社と入居者との間で、分割支払い計画が立てられましたが、2度ほど支払ったあと、再度滞納となりました。
滞納が続いても退去の意思はなく、保証会社が介入して訴訟へと進みました。
このときも弁護士が全ての手続きを代行してくれたため、私は経過を見守るしかありませんでした。
結果的に、こちらも強制執行直前まで居座られ、強制執行の4日前に自主退去という形で部屋を明け渡しました。
2件目の保証会社は法的手続きにとらわれず、自主退去させたので、弁護士の強制執行の手続きを直前で止めた形になります。
すると保証会社は訴訟費用が少し安くなります。
また、2件目の保証会社は最後まで入居者と連絡を取り合って、役所に相談したり次の入居先を探したりとサポートしていた様子です。
この点でも、保証会社の督促チームの気合の違いが読み取れます。
訴訟費用自体は保証会社負担でしたが、その間の家賃収入が止まることが一番のダメージでした。
退去後に滞納家賃分は一気に入金となりましたが、強制執行ではなかった(4日前に自主退去)ので鍵交換代は大家負担でした。
学び:保証会社があっても「滞納ゼロ物件=安全」ではない
保証会社があると安心感がありますが、あくまで「金銭的な補填」まで。
実際の退去や訴訟には時間がかかり、精神的にも消耗します。
また、購入時点で滞納がない物件でも、その後の生活環境やメンタル面の変化で滞納が始まることもあります。
入居者トラブルは「運」だけでなく、物件管理の仕組みやリスク対応の早さが大切だと実感しました。
2度の明け渡し訴訟を通して感じたこと
- 家賃滞納は早期対応がカギ。数日の遅れでも「確認連絡」は必ず行う
- 保証会社の種類と対応範囲を購入前に把握しておく
- 滞納が始まったら“待たない”勇気が必要⇒すぐに保証会社対応してもらう
- 人柄よりも「契約条件」と「支払い実績」を重視する
- 自分のメンタル面のケアも重要
メガ大家さんでもないのに1年に2度も訴訟してる人はあんまりいないです…。
まとめ:これから不動産投資を始める方へ伝えたいこと
「家賃滞納」や「明け渡し訴訟」と聞くと怖い印象を持つかもしれません。
でも、リスクを知っておけば、正しい対応で被害を最小限にできます。
保証会社や弁護士など、専門家と連携することで大家としての負担も軽減できます。
私は今回の経験で、大家力がさらにアップしたなと前向きにとらえています。
明け渡し訴訟を経験して感じたのは、「不動産投資は人との関係で成り立つ仕事」だということ。
2度の訴訟で失ったものもありますが、得た学びはそれ以上でした。
この記事が、同じように悩む大家さんやこれから不動産投資を始める方の参考になれば嬉しいです。
トラブルを恐れず、正しい知識と準備で“長く続けられる大家業”を目指しましょう。